人材・育成
クルマの整備工場にとって、人材の確保は最重要課題の1つです。近年、技能実習生や特定技能の外国人労働者の活用が増え、彼らの定着が一層重要となっています。一方で、言語だけでなく、文化や仕事観が違う人たちと働くのは簡単なことではありません。外国人に日本の文化に慣れてもらうだけではなく、私たち日本人が異なる文化を理解し、日常の仕事の生産性を上げることは不可欠です。そこで今日は、外国人労働者に定着してもらう上で役立つコミュニケーション方法をご紹介します。
私たち日本人は、子どもの頃から異文化コミュニケーションをとる機会はほとんどありませんでした。学校にしても、今でこそ外国人の生徒は増えてきましたが、昔はほぼ全員が日本人でした。また、英語が話せたり読めたりしなくても、日本語だけで勉強に不自由はしませんし、英語が話せないと就職ができないというわけでもありませんでした。つまり、異文化コミュニケーションができなくて困ることがなかったわけです。しかし、こうした国は世界でごくわずかです。
世界の多くの地域では、異文化コミュニケーションが日常的に行われ、どうすれば異文化の摩擦を抑え、良い関係を築くことができるかが考えられてきました。そこには、私たちが外国人と働く上での有益なヒントがたくさんあります。そこで今日は、カルチャーマップという異文化コミュニケーションを効果的にするツールをご紹介します。
カルチャーマップは、世界有数のビジネススクール INSEAD で教授を務めるエリン・メイヤー氏が作成した、世界67か国の文化の相対的位置づけを示した分布モデルです。文化的差異が出やすい8つの行動が指標化されており、お互いの前提の違いを理解して、日常のコミュニケーションに活かすことができます。

今回は、カルチャーマップから「信頼関係の築き方」、「意思決定の仕方」、「伝え方」の3つに焦点を当てて考えてみます。なお、カルチャーマップは国別の指標であるものの、すべての国が網羅されているわけではありません。そして、整備工場によって外国人労働者の出身国は異なります。そこで、整備工場で多い東南アジアの人たち、筆者の経験を踏まえて発展途上国・新興国の人たちの傾向というくくりでお伝えします。
信頼関係の築き方は、東南アジア・新興国と日本では異なる部分があります。日本では約束を守り、高い技術力を持つことが信頼される一方で、新興国出身の人にとっては人間関係が重要となります。
では、どうすれば良い人間関係を築くことができるのでしょうか?
例えば、食事を共にしたり、お互いの家族の話をしたりといったシンプルなことで十分に効果があります。一昔前の日本の飲み二ケーションに似ていますよね。同じように、頷きながら相手の話を聞く、適切なタイミングで笑顔を見せるなど、言葉以外の日常的なコミュニケーションでも、相手に対する理解や共感を伝えることができます。
相手に共感を伝えることで「何でも話していいんだ」と感じてもらうことができます。これが信頼関係を築くことにつながります。

日本の組織では、できるだけ全員が意見を出し、合意を形成するのが一般的な意思決定スタイルです。しかし、新興国では上司が全てを決め、部下がそれを実行するトップダウン体制に慣れています。これは受けてきた教育から社会人経験に至るまでの経験で、染み付いていると言っても過言ではありません。
例えば、整備の手順や工程管理など、いつまでも上司の指示を待つ人もいるでしょう。時には「自分でもっと考えて動け」と言いたくなるかもしれませんが、彼らにとってそれは当然のことなのです。少しずつステップを作って、自分で考えて行動する機会を徐々に増やしていくことをおすすめします。
「以心伝心」や「空気を読む」という言葉があるぐらい、日本人は文脈を読んでコミュニケーションをとります。文脈の英語がコンテキストであることにちなんで、こうしたコミュニケーションをハイコンテクストといいます。簡単に言うと、言いたいことをはっきりシンプルに伝えるローコンテクストに対して、文脈を読んで曖昧に伝えるスタイルがハイコンテクストです。
アジアやアフリカでは、日本と同じハイコンテクストの文化が多く、それぞれの文化で文脈の解釈が異なるため、ミスコミュニケーションが起こりやすくなります。その解決策として、明確で具体的な表現を使うことが大切です。例えば、「早く終わらせておいて」ではなく、「1時間以内に終わらせておいて」「午後3時までに終わらせておいて」と伝えるなど、具体的な数字を入れるのも良い方法です。
また、指示をしたり話し合った後に、お互いに理解を確認すること、お互いの共通理解のためにこうした確認が大事だと伝えることの2つも、ミスコミュニケーションを防ぐために重要です。

日本人同士で同じ文化を共有しているからといって、誤解やコミュニケーションの失敗が起きないわけではありません。特に世代が異なる異文化と言ってもいいほどに物事への考え方は変わってきます。ましてや私たちのコミュニケーションは、文脈を読むハイコンテクストのスタイルのため、誤解が生まれやすいのです。
今日ご紹介した内容は、整備工場で働く人が多い東南アジア出身者、または発展途上国・新興国の人たちとのコミュニケーションはもちろん、日本人同士の対話でも誤解を防ぎ、円滑なやりとりを可能にします。国籍に関わらず、お互いが気持ちよい関係性で長く定着して働くためにも、ぜひ日々の業務やコミュニケーションでご活用ください。
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